✈旅の日

旅の日

5月16日は「旅の日」です。

昭和63年に【日本旅のペンクラブ】(昭和37年設立の団体)が提唱して誕生した記念日になります。

この日は、松尾芭蕉が”奥の細道”に旅立った日です。
  1689年5月16日(陰暦 元禄2年3月27日)

旅の日に因んで、「旅」の絵本を紹介します。

旅に出よう!

大がかりな計画を立て費用もかけての旅行から、思い立ってちょっと行ってこようかな、なんていう旅まで。一人で行く、誰かと行く。いろいろな “たび” があります。絵本のなかの旅をご一緒しませんか。

風を感じて

世界のどこかで風が吹いている。風は旅をしているのか…


旅する風
新宮晋(作) BL出版


あたたかな風がいく。森をぬけて吹いていく。鳥たちも旅をしている。寒い国にも風は吹く。夜空の上のオーロラは、広大すぎます。
綺麗な色彩の紙の造形が織りなす、風の旅。ページを開いて、風を感じるかもしれない。自身が風と化すかもしれない。さまざまに楽しめます。素敵なポップアップ絵本です。


窓から見える世界の風
福島あずさ(著) nakaban(ナカバン)(イラスト) 創元社


世界には、その土地にだけの風が吹きます。その風の名前や特性などについての詳述と、窓からの風を伴う景色を描いたイラストが融合された本です。ページを開いたとき、あなたの窓も開いてしまいます。行ったことのない世界のあちこちの風が運ばれてくると、旅した気分になって、得した気分。気象学者である著者からのステキなプレゼントです。


アニマルだってタビをする

空を飛ぶ鳥のように、チケットも混雑も関係なく、行きたいところに飛んでいけたらいいなと思うことがあります。動物たちにとっては、生きるための必然という移動が「旅」ということになるのでしょう。ヒトがする旅とは、意味合いが違いますが、ここでは絵本の中の動物たちの旅のおはなしをどうぞ。


小さなピスケのはじめての旅
二木真希子(著者) 復刊ドットコム


夏の朝、ピスケはお父さんに「自分の家をさがす」ように言われて旅に出ます。ピスケの兄さんたちもみんなそうしてきたことです。ピスケは、にぎやかな町や岩のすきま、川の上流などをみつけますが、どれも失敗。川に流されて行きついたところで、扉を見つけました。中にはだれもいませんが、真っ暗です。嵐の音におしつぶされそうになるピスケを救ってくれたのは、ハチボタルのあかりでした。嵐の後の日の暖かさ。ピスケは「ここにすんでもいいですか? 」とそばの木にききます。住めるように家を整え、持ってきたお茶の缶をあけます。いい香りが家のなかをみたします。
著者は、スタジオジブリで多くの作品に携わった方。この絵本は、装幀を一新して新装版として復刊された作品です。


オレゴンの旅
ルイ・ジョス(絵) ラスカル(文) 山田兼士(訳) らんか社


サーカスの道化師デュークは、同じサーカスのクマのオレゴンに頼まれます。「大きな森まで連れて行って」と。道化師とクマは、ロッキー山脈のむこうにあるオレゴンを目指す旅をします。オレゴンを送り届けたあと、道化師に変化が現れます。そして、次の旅が始まります。フランスの絵本です。


かがくのとびらシリーズ ぼくたちはみんな旅をする
ローラ・ノウルズ、クリス・マッデン(著) 石川直樹(訳) 講談社


広い海のなか、果てしなく続く大地、過酷な気候、地球上の動物たちは、生きるために移動をする。生活に適した場所を知っていての行動なのでしょう。本能。ホッキョクグマなど25種類の動物たちの真実の物語。科学絵本。


紙の地図に導かれて

紙でできた地図を机に広げて、目的地をさがす。小さく畳んで、ポケットに、バックに入れて、楽しい旅へと Let’s Go ! という時代がありました。


世界地図の迷宮
瀧原愛治(絵) 井田仁康(監修) 学研


世界地図で遊びます。主人公たち世界を旅して、迷路やクイズに挑戦します。世界各地の自然、建物、食物、世界遺産などの知識を得ることができます。


日本地図の迷宮 改訂版
瀧原愛治(絵) 井田仁康(監修) 学研


日本を旅しながら、迷路やクイズで日本のいろいろを学べてしまう図鑑絵本です。47都道府県の自然、建物、特産物、祭りなどが知りたい放題です。


はじめてのせかいちずえほん
てづかあけみ(絵) 赤澤豊(監修) パイインターナショナル


「はじめての地図」になる子どもたちだけでなく、大人の方にもおすすめの、かわいい地図です。世界の各国の建物、祭り、特産物、乗り物などを知ることができます。また、時差についても解説しています。


はじめてのにほんちずえほん
てづかあけみ(絵) 赤澤豊(監修) パイインターナショナル


かわいいイラストで、楽しく学べる地図絵本です。日本各地の建物、祭り、特産物などがわかりやすく、工夫されています。山や川の大きさ比べや動物の生息地などなど、日本のことがよくわかります。


ちずでぐるり! 世界いっしゅうえほん
てづかあけみ(絵) 吹浦忠正(監修) パイインターナショナル


東南アジア、西ヨーロッパなど24の地域について、わかりやすい地図区分で各国の文化などの情報について解説しています。イラストがかわいい、とても見やすい大判の地図絵本。


世界がみえる地図の絵本
ブライアン・デルフ(作・絵) 吉田秀樹(訳) あすなろ書房


大陸別、国別に描かれています。立体的な地図なので、地球の様子が伝わってきます。世界のベストセラー地図帳だそうです。


世界の国旗と地図 マグネットブック
講談社(編) 鈴木キャシー裕子(編集協力) 西浩二(デザイン) 講談社


地図にマグネットの国旗を貼ることができます。
世界の国旗がわかるし、首都がわかるし、かわすべきご挨拶がわかります。もちろん、その国の位置もわかります。マグネット90枚付きです。


世界中から たっくさん!
マーク・マーティン(作) 偕成社編集部(訳) 偕成社

世界の大都市(ニューヨーク、パリ、香港…)や大自然に囲まれた地域(南極大陸、アマゾン、ガラパゴス諸島…)などを、可笑しみあるコメントで紹介しています。表紙絵からでも、愉快な内容が想像できます。 “トウキョウ” についても紹介されています。是非ご一読ください。


WORLD ATLAS 世界をぼうけん! 地図の絵本
ニック・クレイン(文章) デビット・ディーン(イラスト)
柏木しょうこ(翻訳) 実業之日本社


まずは、世界の五つの大海を巡ります。太平洋、インド洋…それぞれの現実と問題があります。次に、陸に上がります。アフリカ南部では、行方不明になったある人物と出会います。陸地にも熱帯雨林の問題などが存在します。この本で、旅をしていくと地球上のモノはつながっていると実感できる。著者は実際に世界各地を旅して歩いた。世界地図ポスターの付録付きです。


アメリカ海岸地図を作った男たち
テイラー・モリソン(作) 川島誠(訳) BL出版


19世紀のアメリカ。ゴールドラッシュに沸く時代。アメリカ沿岸測地測量局が科学者たちに作らせた地図。その作成の過程には、自然の厳しさや南北戦争などの困難があった。それらを克服して、アメリカ太平洋岸の地図を完成させた男たちの実際のお話。


ぼくらの地図旅行
那須正幹(作) 西村繁男(絵) 福音館書店

小学生の男の子二人の旅。地図を手にして、灯台まで行く旅。自分たちで地図を読みながらの道中には、いろいろな出来事がおきます。それでも、目的地を目指して二人は進んで行きます。男の子たちと一緒に、地図の読み方や地図記号を学んでみましょう。


線路はつづく、どこまでも

線路を走るよ、走る。ヒトやモノ、いろんなものをのせて、走るよ、走る!


機関車

力強く前進して行く、機関車。機関車にも物語があったのです。


はしれちいさいきかんしゃ
イヴ・スパング・オルセン(作・絵) やまのうちきよこ(訳) 
福音館書店

大きな駅で働く小さな機関車。小さな機関車は「遠くへ行きたい」と思っていました。遠くがダメなら、近くの隣町まででも…と、思っていました。そして、機関士が仕事をしている隙に脱走を決行します。はじめて見る風景のなかを走りに走ります。思いを遂げて、駅へと戻ってくるまでのお話です。小さな機関車は、どんな冒険をしたのか、大満足に終わったのか……


ゆめのきかんしゃ おいかけろ 新装版
トシ・マサヒコ(作・絵) PHP研究所


汽車が来る、汽車の音がする。だでゅう だだ だでゅう だだ
汽車は空高くあがって行く。
村も、牧場も、町も越えて行く。
汽車が走って行くのと一緒に、言葉も軽やかに弾んで行く。 
ページのなかの言葉が音楽を奏でて行く。


はしれ! かもつたちのぎょうれつ
ドナルド・クリューズ(作) 田村隆一(文) 評論社


レール の上を走る貨物車。赤いチューリーップ色の箱は、何の貨車かな。オレンジ色の箱は何の貨車かな。黄色い箱は、何の貨車かな。じょうごみたいな形をした貨車は何かな。草色や海の色、スミレ色の貨車もある。まっ黒いのは、何を積んでいるかわかるような気がします。石炭を積んでいるんじゃないかな。そして、先頭には黒い蒸気機関車。貨物車を引いて煙をはいて走って行きます。そのスピード感が貨物車の色の具合で表現されていて、お見事です。トンネル、大きな町、鉄橋…と疾走していく姿は何とも、かっこいい! そして、過ぎ去ったあとに残していったものは……

田村隆一さんは、詩人・随筆家・翻訳家。素敵な作品が多数あります。


小さなきかんしゃ
グレアム・グリーン(作) エドワード・アーディゾーニ(絵) 
阿川弘之(訳) 文化出版局


小さな村で生まれた、ちびの機関車。隣町の駅と村の駅の間を往復するだけの毎日に、飽きてしまった。ある日、ちびの機関車はちょっとの隙に逃げ出します。はじめこそゆうゆうと走っていましたが、だんだんと不安がまさるようになってきます。駅へと戻ってきたちびの機関車は、さて「何思う」かな。
グレアム・グリーンはイギリスの作家。グリーンといえば、映画「第三の男」。この映画の脚本を執筆。「第三の男」といえば、観覧車、下水道、ラストシーン、そして、アントン・カラスのツィターによるテーマ音楽。そんなグリーンが手掛けたはじめての絵本です。


きかんしゃがとおるよ
ゴールデン・マクドナルド(作) レナード・ワイスガード(絵)
こみやゆう(訳) 長崎出版


小さなきかんしゃが、シューッポッーと出発しました。走って行きます。線路を走って行きます。ネコが線路を渡ろうとしています。「ネコさん、止まってください」と小さなきかんしゃ。機関車が線路をやって来たら、通りすぎるまで待っていなくてはいけません。イヌ、ウシ、ハチ…車や子どもも線路を渡ります。でも、「待ってくださいね」。走る機関車は危険です。そして、行ってしまう機関車に掛ける言葉は…
ゴールデン・マクドナルドはマーガレット・ワイズ・ブラウンのペンネームのひとつです。


よるのきかんしゃ、ゆめのきかんしゃ
シェリー・ダスキーリンカー(文) トム・リヒテンヘルド(絵)
福本友美子(訳) ひさかたチャイルド


夜空の下の線路の上を音を立てて、機関車がやって来ます。機関車が止まると動物たちが動きだす。機関車の後ろには炭水車、そのまた後ろにはいろいろな貨車が並んでいます。有蓋車は大きいので、積み木やおもちゃや自転車をウサギやラクダが積み込みます。タンク車には、ゾウがペンキを積み込んでいます。冷蔵車には、白クマとペンギンがアイスクリームを積み込みます。動物たちが貨車に荷物を積み込み終わると、機関車は次の駅へと走り出します。動物たちはというと……眠るまえの読み聞かせにピッタリな絵本です。

貨車には用途によりいろいろな種類があり、日本国有鉄道における車種記号と言うものが付いています。大物車は「シ」、ホッパ車は「ホ」、車運車は「ク」、冷蔵車は「レ」などです。


きかんしゃやえもん
阿川弘之(作) 岡部冬彦(絵) 岩波書店


機関車のやえもんは一生懸命に働いてきましたが、年をとり人間で言えばおじいさんになりました。都会の駅に行けば、レールバスや電気機関車にバカにされて悔しい思いをしていました。怒り心頭のやえもんは手をふる子どもたちに挨拶も返さずに走り続けたうえに、火の粉を飛ばして稲わらを燃やしてしまいました。今度怒ったのは、お百姓さんたちでした。駅へ行って、やえもんを鉄くずにしろと、駅員さんたちに詰め寄ります。と、男の人がある提案を申し出ます。やえもんはとても珍しい機関車だから「交通博物館」に展示したいというのです。やえもんも駅員さんも子どもたちも大喜びです。
1959年刊行で、小学校の国語教科書に掲載されるなど、読み継がれてきたロングセラー絵本です。


せんろはつづくよ
マーガレット・ワイズ・ブラウン(作) ジーン・シャロー(絵)
与田準一(訳) 岩波書店


新しい機関車と古い機関車。それぞれに男の子と女の子が乗車しています。二台の機関車はトンネル、鉄橋を越えて、西を目指します。小気味よい言葉とともにページを繰ると、やさしい絵が物語をつないでくれます。
この絵本とは関係ありませんが、「線路はつづくよどこまでも」という歌がありますが、この歌はアメリカ民謡です。原曲はアメリカの工夫たちの労働歌だそうで、子どもたちが軽やかに歌う日本語の歌とは感じがちがいますが、アメリカのTVドラマの主題歌の原曲も “いい感じ” です。


ビュンビュンきしゃをぬく
アーナ・ボンタン ジャック・コンロイ(作) バージニア・リー・バートン(絵)
ふしみみさを(訳) 岩波書店


機関車火夫のゴウゴウの愛犬ビュンビュンは、いつも機関車と併走しています。駅長さんは、ビュンビュンを機関車に同乗させてくれません。そこで、機関車への同乗をかけて、ビュンビュンと蒸気機関車の競争をすることにしました。ビュンビュンはとても速く走ることができる犬です。さて、勝負の行方はどうなるでしょうか。バートンの描くビュンビュンのスピード感がものすごいです。

 


いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう
バージニア・リー・バートン(作・絵) 村岡花子(訳) 福音館書店

小さい機関車のちゅうちゅう。貨車や客車を引いて、小さな町と大きな町を走ることが、ちゅうちゅうの毎日の仕事です。そんなある日、ちゅうちゅうはひとりで走りだします。だんだん調子にのっていくちゅうちゅうです。走る走るちゅうちゅうは、まわりの人々や動物たちに迷惑をかけていることに、気付きません。
遠くの田舎まで走り続け、夜になり、走るための石炭や水もなくなりかけて…止まってしまいます。ちゅうちゅうの機関士のジム、機関助士のオーリ、客車の車掌のアーチボルドさんたちは、ちゅうちゅうのことを心配してさがします。みんなに見つけてもらったちゅうちゅうは帰っていくのですが…そのときのしみじみとしたちゅうちゅうの思いが、しんみりと伝わってきます。

バートンが4歳の息子に贈った絵本 (原題は「CHOO CHOO」) です。1961年刊行のロングセラー絵本を翻訳したのは、「赤毛のアン」の翻訳で知られる村岡花子さんです。ちゅうちゅうのセリフなどの表現に、やさしさが垣間見れるような気がします。


汽車

♪花嫁は夜汽車に乗って~  
が思い浮かぶ “汽車” 。汽車が歌われているフォークソングは結構あります。どの歌もそれぞれに感慨があっていい歌ばかりです。子どもの頃に乗った汽車が懐かしいです。
汽車の絵本をどうぞ。


ぽっぽぉー よぎしゃ
矢崎節夫(作) 北田卓史(絵) 至光社

しゅっしゅっ ぽっぽ 夜汽車が走って行きます。連なる客車。
ぼくは機関士です。鉄橋を渡ります。
食堂車で食事を楽しみ、寝台車ではみんなベッドのなか。
リズミカルな文章が添えられた絵もまた素敵で引き込まれます。
機関士の “ぼく” は、「楽しかった」と大満足の様子です。


いっしょに きしゃに のせてって!
ジョン・バーニンガム(作・絵) 長田弘(訳) 瑞雲舎


男の子の夢の中。「のせてって」と、男の子の汽車に乗り込んでくる動物たち。ゾウやアザラシなど、自然環境の破壊により生息地を失いかけている現状にいるのです。動物たちの乗った汽車は、夜から朝へと疾走していきます。そして朝、目覚めた男の子のまわりには……


どんくまさんは えきちょう
蔵冨千鶴子(作) 柿本幸造(絵) 至光社

どんどんだににはじめて汽車が来ることになりました。どんくまさんが駅長さんです。新しい帽子や笛や懐中時計にワクワク。鏡の前で敬礼の練習に余念のないどんくまさんです。開通式は明日の午前10時です。どんくまさんは、昔見たことのあるかっこいい機関車に、ずっとあこがれてきたのです。だから、今回のことに対しての思いはひとしおなのです。どんくまさんは、明日のためにカンテラをさげて夜の見回りを疲れるまでして、眠り込んでしまいました。目が覚めると、吹雪でトンネルが雪に埋まっているではありませんか。どんくまさんは、急いで雪をかき分けます。そして、線路に耳をあててみると、聞こえてきたのは……!


さてさて きしゃは はしります…
ウィリアム・ビー(作・絵) もとしたいづみ(訳) フレーベル館


たくさんの車両が連なっています。駅にとまるたびに、カラフルな車両にそれぞれにぴったりな個性的なお客さんが乗車していきます。ゴトン ガターン カタンさまざまな擬音とともに汽車が走りっていきます。かわいい表紙のこの絵本、つい手に取りたくなります。


エンソくん きしゃにのる
スズキコージ(作) 福音館書店

ほげた町のほげた駅。エンソくんは、おじいさんのところへ行くために切符を買います。汽車はエンソくんを乗せて走ります。高原の駅まで来たところで、乗り合わせたおばあさんが降り、ヒツジがどっと乗り込んで来ました。車両のなかはヒツジでいっぱいです。エンソくんがお弁当を買うと、そのお弁当には大きな〇〇〇のコロッケとコーンがぎっしり詰まっていました。そして、ヒツジたちもごはんの時間です。羊飼いのリュックからみどりのごはんが出てきました。お腹いっぱいになるとみんなお昼寝。そして、終点。エンソくんには、おじいさんのお迎え。ヒツジたちも汽車を降ります。


電車

♪グッドバイ グッドバイ グッド バイバイ~
この後に、父さんが電車に乗っておでかけするシーンが歌われるのですが…
「グッドバイ」という歌です。
電車の絵本をどうぞ。


新装版 かぜのでんしゃ
谷内こうた(作) 講談社


ぼくは野山に座っている。目を閉じてみる。山に線路がひかれてくる。そして、向こうに小さな電車が見えてくる。一両で走ってくる風の電車。ぼくは、それに乗るんだ。鉄橋、トンネル、夜の月。月が輝く、雲の上を電車は走る。やがて、電車は空から降りてくる。そうしたら、ぼくも降りなくちゃ。ぼくは、また、待つんだ。目を閉じて、風の電車を待つんだ。


ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ
いわむらかずお(作・絵) 偕成社

山奥の駅。夕方に出る最終列車。進むにしたがい、人々が降りて行く。車両に男の人がひとりになった時、ネズミが4匹乗って来た。方言で喋っているようで、よーく聞き耳を立ててみると、ネズミたちの言っていることが男の人には分かるようになってきた。「今年はネズミ年らしい」と言っている。ちょっとクスリとしてしまうような会話が続きますが、続いてイノシシの男女が乗って来た。ネズミはイノシシに「去年はイノシシ年だったけど…」と話を振っていく。男の人は人間の気配を消しながら、次々に乗ってくる動物たちの話を聞いているのです。どうやら、山の動物たちの寄り合いに参加するためにこの電車に乗っているようです。動物たちにも、諸々の心配事があるようです。さて、終点が近づいてきたようです。すると、男の人がサルに気付かれてしまい……
終点で、男の人が車掌さんに動物たちのことを話すと……
男の人が体験したことは、いったい……


でんしゃがくるよ!
シャーロット・ヴォーグ(作・絵) 竹下文子(訳) 偕成社

土曜日。お父さんとおねえさんとぼく。自転車で橋まで行きます。ぼくたちだけじゃない、たくさんの人が来ます。信号が赤から緑の変わると、向こうに小さく見えてくる電車。電車が来るよ~。電車に手を振ると、ビーボーと警笛を鳴らして答えてくれる。うれしいな~。さあ、近づいてきた電車! 橋の下を通っていくぞ~。ビューンと風が巻き起こる! 髪の毛は舞い上がるし、大きな橋まで震えている。この感覚! 最高だな。だから、夜になって、ベッドに入っても、ぼくは…


でんしゃにのって
とよたかずひこ(作) アリス館

うららちゃんは、おばあちゃんのところへ行きます。電車に乗って。おみやげときっぷを持って。おばあちゃんのところは「ここだ」駅。そこまで、ガタゴト、ガタゴト。電車に乗って行きます。と、「わにだ」駅からワニが乗って来ました。「くまだ」駅では、おじゃましますよと、クマさんが乗車。「ぞうだ」駅、「うさぎ」駅、「へびだ」駅。混み合ってきました。ウサギはだれかの膝の上に遠慮なくとお座り、ヘビはスルスルっと、とあるところにおさまります。さあ、「ここだ」駅です。うつらうつらしたうららちゃんは、それまで大事ににぎっていたきっぷを落としてしまいましたが、それを……
余談ながら、「ここだ」駅の次は「おばけだ」駅です。3人のおばけが待ってま~す。


スイス鉄道ものがたり
宮脇俊三(作) 黒岩保美(絵) 福音館書店

夏休み。おじいちゃんは、香奈子と俊太をスイスへと誘います。
ジェット機でスイス・チューリッヒへ。路面電車、ケーブルカー。
スイスの国境へと向かう電車。
―車掌さんのカバンストラップが長すぎる点についての考証。
  車掌さんのカバンがお客さんの腰に当たらないようにストラップを長くして
  カバンは腰のずっと下のほうにくるようにしている、とのこと。
ルツェルン、スイス連邦はじまりの町。ピラトゥス鉄道、ブリエンツ・ロートホルン鉄道(登山鉄道、静岡県・大井川鐵道と姉妹提携している)、ユングフラウ鉄道。
マッターホルンのふもとのツェルマットへ向かう。ゴルナーグラート(標高3090m)へ登る。鉄道(GGBゲーゲーベー)。マッターホルンを存分に眺める。
氷河急行。ラントヴァッサー橋。
旅の終わりは、イタリア・ティラノまでのベルニナ線。
三人は、スイスの旅を満喫。おじいちゃんに導かれての夏休みの旅は、最高だったはず! 旅の行程が丁寧に描かれ、説明されていて、読者も一緒に旅をさせていただいた気分です。1990年の取材によるものになりますが、現在のスイスとの違いを見つけてその変化から得るものもあるのではないでしょうか。古いというのではなく、歴史として評価できますよね。


自転車

♪サイクリング サイクリング ヤッホー ~
「青春サイクリング」(作詞 田中喜久子 作曲 古賀政男) という歌の一部ですが、時折自転車をこいでいるときにこのフレーズを口ずさんでしまいます。なんとも、愉快な気分になるフレーズです。
自転車の絵本をどうぞ。


チリとチリリ
どいかや(作・絵) アリス館

早起きした朝、チリとチリリは自転車に乗ってお出かけです。森のなかを走っていると、いい匂いがしてきます。森の喫茶店です。二人にぴったりのテーブルに座って、お茶をいただきます。橋やデコボコ道、坂道。次は見えてきたのは、サンドイッチ屋さんです。いろんなパンやジャムがあって、全部おいしそうです。ふたりはジャムサンドをチョイス。池のほとりで一休み。そのうちに日が暮れてきました。森のホテルに着いた二人は、部屋に入りベランダへ。二人を待っていたお楽しみとは……チリとチリリは、どこに行っても二人にピッタリなものを見つけます。チリとチリリも可愛いし、食べ物、インテリアなども可愛いものが大好きな方には、お気に入りの一冊になるのでは。


ジャッキーのじてんしゃりょこう
あいはらひろゆき(作) あだちなみ(絵) ブロンズ新社

ジャッキーたちは長~い自転車に乗って海へと向かいます。12人乗りだから、とっても長~い自転車なのです。名所を巡りながら海まで行くという、自転車旅行です。楽しい海のはずが、ジャッキーが溺れてしまいます。それを助けてくれたのが、北極から来たシロクマのデイビッド。そして、ジャッキーの恋がはじまるのですが……結局頼りになるのは、いつもやさしいお兄さんたちです。

「くまのがっこう」シリーズ
山の上の寄宿舎で暮らす12匹のクマの子たちのお話です。1番目から11番目までがクマの男の子たちで、12番目が女の子のジャッキーです。ジャッキーは、いたずらずきのきかんぼうさんだそうです。一番小さいのに、お兄さんたちのお母さんのつもりでいるようです。子どもから大人まで大人気のシリーズです。


サイクリングやっほー
関屋敏隆(作・絵) 講談社


少年と父の「日本横断自転車旅行記」。8月10日から8月21日までの、暑い暑い夏の旅の空。毎日の出来事を綴る旅日記。自転車に荷物を積んで、旗を立てて出発だ! たくさんの出会いや経験を経てのラストのご褒美。大変そうだけれど、やってみたい気もする自転車旅行。走り出したら止まらない、目指すはゴール!


優雅に叱責する自転車
エドワード・ゴーリー(作) 柴田元幸(訳) 河出書房新社


それは、火曜日の翌日で水曜日の前日に始まった。ユーバートとエンブリーはクローケーの槌で叩き合っていた。そこへ現れた自転車。この自転車に乗って、二人は旅…? に出る。木にぶつかりかけた時、その木にとまっていた鳥に “ご忠告” を受ける。嵐にあったり、長い水たまりを走ることになったり、ワニとでくわしたり…大きな茂みになる果物を貪り食い…家に帰りついた二人を待っていたものは何か? そもそもの最初の自転車の出現の意味は何か、そしてラストの自転車の様は……奇妙で魅惑的なゴーリーの世界を味わってください。


ながいながいみち
フランク・ビバ(著) アサダワタル(訳) まきおはるき(訳) 
バナナブックス


黒地の上を黄色い道がどこまでもどこまでも続いていきます。そこを自転車に乗って走って行きます。海が広がる街。トンネル、橋と走り抜けて行きます。街中でりんごにつまづいて一休み。そのあとは、また走ります。街を回って戻ってきたら「もう、一回」走りましょう!
この絵本の表紙から中のページから裏表紙へと、黄色い道は続いています。


いしゃがよい
さくらせかい(作・絵) 福音館書店

エンさんは、山にキノコ狩りに行きました。ファーファーないているパンダを見つけました。エンさんは、パンダを家に連れて帰り “ファンファン” と名付けました。体の弱いパンダは、おなかをこわしたり、あたまがいたくなったりと…そのたびにエンさんは、ファンファンを自転車に乗せて山を越えてお医者のところへ連れて行くのです。その時にエンさんは、歌を歌います。「このこ だれのこ パンダのこ~ふたりは とっても なかよしよ~」エンさんのファンファンに対する愛を感じる歌です。大きくなるにつれてファンファンは丈夫になり、エンさんのお仕事の手伝いもする頼もしい相棒になりました。そして、エンさんはおじいさんになり体の具合がよくないと、今度はファンファンがエンさんを自転車に乗せて……
ふたりは ずっと なかよしよ~

「いしゃがよい=医者通い」なんですね。最初「医者が良い」かと思いました。失礼いたしました。


自転車ものがたり
高頭祥八(文・絵) 福音館書店

子どもの頃、自転車に乗る練習をしました。転んだり、キズを作ったりしながら乗れるようになっていきました。自転車に乗れた喜びを忘れない。でも、この自転車っていつできたのかな? 自転車の歴史について描かれているのが、この絵本です。
まずは、軽くて、丈夫で、楽に乗れる自転車に使われている部品は、1400個もあるということからです。
5000年前には、横に2個の車輪が並んだもの。縦に並べたものはすぐに倒れるということだったのです。
1769年に蒸気自動車が誕生。その50年近く後のドイツ、1817年に自転車が作られるのです。最初の自転車は、ホントにシンプル。ペダルがないのです。その後イギリスで前の車輪が大きく後ろが小さい “エアリアル” など、自転車も現在の形へと変化を遂げていくのです。
日本には、江戸時代の終わりに持ち込まれ、1902年頃から本格的に製造されるようになったそうです。
子どもから大人まで、みんな “最初の自転車” の思い出があるのではないでしょうか。自転車のことがよくわかるこの絵本で、自転車のことを再発見してみませんか。爽やかなイラストとやさしい文章で、知識がスイスイ入ってきてしまう絵本です。


太陽といっしょ
新宮晋(作) クレヨンハウス


空から見下ろしたように、人物と犬の影が長く伸びている。「おはよう」ぼくは犬のルルと自転車で出発する。自転車がスムーズに走るシーン。友だちと行きあい一緒に走り続ける。色とりどりのスニーカーが輪になって、みんなが草原で寝転んで一休みするシーン。森のなかの動物たちの目が光っているのが、妙な雰囲気。ランチをして、ジャンケンして、みんなで遊んでいたはずなのに…霧に包まれて怖くなり、ルルと森から逃げだして元の場所に戻ってみると、誰もいない。ぼくの緑色の自転車が一台あるきり。えっ、なぜだろう…自転車に飛び乗り走りだす。振り返って見る森は…! ぼくは必死に自転車を走らせて家に戻る。戻ったぼくに母の一言……。
作者の新宮晋さんは、風や水などの自然エネルギーで動く彫刻を創るアーティスト。表紙から始まる色彩の威力が素晴らしいと思いました。エネルギーにあふれた絵と色彩を体感してください。


ピカピカ
たばたせいいち(作・絵) 偕成社

自転車が捨てられています。ゆきちゃんのおじいさんが自転車を修理して、ピカピカになります。 “ピカピカ” は船でアフリカへと運ばれていきます。アフリカでは、助産師さんの “足” として役立つことになります。

(財)ジョイセフの行っている再生自転車を途上国に送り、無医村での医療従事者の方たちに自転車を使用してもらうという運動があります。この絵本は、作者が実際にアフリカに行き、取材を行ったものです。完成までに5年間をかけたということです。インタビュー記事の中でたばたさんが「アフリカの人たちの顔がいいじゃないですか! 」とおっしゃっているのを読んだとき「ああー、いい人だなー」って思いました。

絵本作家の田畑精一さんが、令和2年(2020)6月7日逝去されました。89歳でした。古田足日さんと共作の「おしいれのぼうけん」などたくさんの作品を私たちに”プレゼント”してくださいました。本当にありがとうございました。


♪~海にお船を浮かばせて 行ってみたいな よその国
「海」(作詞 林柳波 作曲 井上武士) という歌の一部です。
ホントに気軽に「船旅がしてみたい」と思いませんか。
船にまつわる絵本をどうぞ。


ショコラちゃん ふねに のる
中川ひろたか(文) はたこうしろう(絵) 講談社


おばあちゃんに見送られて、ショコラちゃんは船旅に出ます。
船は気持ちがいいです。青い空が広がっています。魚が見えるし、鳥も飛んでいます。あ~幸せだな~と思っていると、風が吹いて、大波ザブーン! 船が大揺れして、ショコラちゃんも船長さんも立っていられません。やがて、風も波も静かになります。そして、ショコラちゃんが着いたのはどこの国でしょうか?
ヒント、ショコラちゃんのヘアスタイルが、ボブからおだんご二つに変わっています。


みどりの船
クェンティン・ブレイク(作・絵) 千葉茂樹(訳) あかね書房


夏休み。田舎に来ていたアリスとぼく。お隣のお屋敷の庭にもぐりこんだ。そこには、驚くようなものがあった。それは、まるで “船” だった。緑の木でできた船のようだった。切り株の上の小屋には舵や望遠鏡があり、棚の上には制服を着た男の人の写真、窓から見える景色は “海” のようだった。と、「水夫長、密航者では! 」という声。そこには、ご婦人と庭師がいた。ご婦人はトリディーガさん。このお屋敷の持ち主。ぼくたちは、甲板磨き=落ち葉掃きなどをして、この船の水夫となった。庭の花壇やヤシの木はイタリアやエジプト。寒い日は北極での航海となった。暑くなってくると熱帯での航海となり、赤道まで来たときには “ネプチューンの儀式” が執り行われた。
ここで過ごす最後の日。船は嵐に遭遇。困難に立ち向かい、切り抜け、無事に嵐を乗り切ったぼくたち。すると、トリディーガさんは、ながいツタを引きずって嵐で傷んだ船をつなぎとめ……
水夫長(庭師さん)も年をとった。庭の木々は生い茂り、”船” も原型をとどめなくなってきた。あの木々が “船” であったことを知る者は、ぼくたちだけ……
トリディーガさんにとってのあの船、ぼくたちの思い出のあの船。形がなくなっても、決して消えないものを大切にしていきたいな。

ノアのはこ船
ピーター・スピア(作・絵) 松川真弓(訳) 評論社


ノアの作ったはこ船に、ノアの家族と種々の動物たちが乗り込み、大海へ。
人間の罪に神は怒り、地上に洪水をおこし、残った者たちをのみ込んだ。
清めの時を経て、主の許しと救いが与えられる。
ノアは白い鳥を放つと、オリーブの枝をくわえて帰ってくる。ノアの喜び。
船は地上にもどされた。土地は清められ、主の慈しみに感謝する。
聖書のなかのお話。最初のページでお話が語られ、後のページでは、絵だけがコマ割りで描かれています。「物語」や「映画」などでは、”壮大” というイメージですが、この絵本では、やさしい絵が物語を包んでくれていて、親しみやすいと感じました。


船を見にいく
アントニオ・コック(作) ルーカ・カインミ(絵) なかのじゅんこ(訳)
きじとら出版


ぼくは、船を見に行く。ぼくは、船は生きていると思う。
働いている人たちは、忙しすぎて船が生きていることに気付いていない。
船は、いろんなものを積んで運び、人々の役に立っている。
どの船も同じひとつの船。なぜなら、古くなった船の部品を新しい船を造るときに使っているから。
夜の船も好き。夜には船のドアが開いている。どこからでも入っていける。
船には、透明な旅人がたくさん乗っている。
ぼくは、パパと船を見に来る。ママは「汚い」からと、行くのを嫌がるけれど、船のことをよく知っている気がするし、嫌いというわけでもないんじゃないかと思う。
ぼくは、いつかこの港から……


ネコがすきな船長のおはなし
インガ・ムーア(作・絵) たがきょうこ(訳) 徳間書店


カルロッタ号の船長は、ネコが大好き。船であちこちへ行き、品物を買い付けて売るということをしているのですが、ネコを見ると、どんな高価な物でもネコと交換してしまうのです。ですから、船には、船員よりもネコのほうが多いくらいです。あるとき、西へと航海を始めます。「西には何もない」のに、なぜ西に行くのかと、みんなが不思議がりました。カルロッタ号は嵐に遭い、方向を見失ってしまいました。船長によると、そこは「海図の左下のすみから15cmもはみ出した」ところだということです。そして、見えてきた小さな島に接岸します。そこは、小さな女王さまの治める島でした。船のみんなは歓迎会に招待され、食事時に大変なことが起きました。壁の穴から、ネズミがわんさか出てきてテーブルの上を走り回りだしたのです。船長の一声でネコたちの出番です。これまで、女王以下の島民たちは、ネズミをどうすることもできずにいたため、この船長のネコたちの働きには、感激の絶頂というところです。女王はネコを欲しがり、船長には山ほどの宝石をお礼にあげました。これを知った船長の知り合いの船乗りたちはさっそく、船長の伝に倣い女王のもとへ、そしてお礼を所望するのですが、女王がくれたお礼というのが…なんとも可愛らしい……なのです。当の船長はというと……どうなったと思いますか?
とにかくたくさんのネコたちが描かれています。すみずみまで、描き込まれた絵には見入る(魅入る)ばかりだと思います。ネコを愛する船長さんがステキです。


海と灯台の本
V.マヤコフスキー(文) B.ポクロフスキー(絵) 松谷さやか(訳)
新教出版社


汽船が帆船が海を行く。強風、うねる波、大きな岩、浅瀬など航海は難しい。船員たちは命がけで航海をする。そういう時、灯台の明かりに船員たちは喜ぶ。船員たちに「こっちへ進め」と呼び掛けてくれる、灯台なのだ。
灯台員たちは夜更けに、灯台のらせん階段を上る。船が安全に航行できるように眠らずに働くのだ。
作者のマヤコフスキーさんは、20世紀を代表するロシアの革命詩人。この作品は悲劇的な死の4年前のものです。この絵本のラストでは、子どもたちへのメッセージが語られているとされているようです。
「こどもたちよ、灯台のようであれ」
灯台のように、明かりで行く手を照らしてあげて、闇のなかにいる人々のためになるような人間になってほしい、と。
もっと深い解釈がありそうですので、絵本の最後にある解説を読んでみてください。世界的に貴重な初版本を使用しての、はじめての日本語版だそうです。


おーい、こちら灯台
ソフィー・ブラッコール(作・絵) 山口文生(訳) 評論社


世界の果ての小さな島のてっぺんにある灯台。遠くの海へ光をおくり、船の航行を安全に導く灯台。夕暮れから日の出まで、放たれる光。灯台守は、レンズを磨き、油をつぎ足し、ランプの芯を切りそろえる。レンズを回すために、ゼンマイをまき、灯台日誌を書く。ひとりで仕事をしている灯台守は、やはり寂しいものです。奥さんへの手紙をビンに入れて、海へ。灯台に物資を運んできてくれる船があります。ある時、小麦や豆や…奥さんを運んできてくれました。霧が出る夜は、危険です。そんな時は、鐘をカン、カン鳴らすのも仕事です。海が氷で覆われることもあります。灯台守が病気になったら、奥さんが代わりを務めます。へ暖かくなってくると、氷山が南へ、クジラが北へと向かいます。灯台守に赤ちゃんが誕生し、灯台日誌にも記載されました。夜空にオーロラが広がることも。
一通の手紙が来ました。そこに書かれていたことは……
ラストのページでは、光を放つ灯台に呼応する光が描かれています。折りたたまれたページを開いて答えを見つけてください。
絵が丁寧に描かれていて、内容とともに(変な言い方かもしれませんが)好感がもてる絵本だなと感じました。
この灯台守さんが、灯台守の仕事をどれほどに愛し、自負していたのか。その家族もまた、同様に灯台守であったのだと思いました。


日本最初の洋式灯台は、
1869年(明治2年)2月11日に点灯した観音崎灯台。着工した1868年(明治元年)11月1日が灯台記念日。現存最古の洋式灯台は、旧品川燈台(1870年点灯、品川区から愛知県犬山市の博物館明治村に移築。重要文化財)。現地に建つ最古の洋式灯台は、旧堺燈台(1877年点灯、大阪府堺市堺区。国の史跡)。
2006年(平成18年)11月12日に女島灯台(長崎県五島市)が自動化され、全ての灯台が無人化となった。この女島灯台は、映画「喜びも悲しみも幾年月」(木下恵介 監督)の舞台の一つとなりました。 


銀河鉄道の夜

授業で銀河について学んだジョバンニ。その日は “銀河のお祭り” 。家のために活版所で仕事をするジョバンニ。級友たちには父親のことでからかわれて嫌な思いをしている。みんなはケンタウル祭りの烏瓜流しに行く途中で会ったジョバンニをまたからかう。父親同士が友人のカムパネルラは気の毒そうに見ながらも笑っている。
ジョバンニは母さんの牛乳を取りに行くが「後で」と言われ、天の川の見える草原に寝そべる。と、「銀河ステーション」という声がして、ジョバンニはカムパネルラと一緒に軽便鉄道の列車のなかにいる自分に気付く。「おっかさんはぼくを許してくれるだろうか」と言うカムパネルラ。
進む列車。宝石や鉱石が光る建物、乗り込んでくる乗客たち。カムパネルラは地図を見ている。ジョバンニは天上にまで行ける切符を持っていることに驚く。
向こう岸が赤くなったのを見て「サソリの火」と、カムパネルラ。サソリは「殺生をして生きてきた自分が、殺される側になったとき…どうして自分はこの体をくれてやらなかったのか」イタチから逃げて井戸に落ち溺れたとき、サソリは神に祈った。「神さま、私の心を見てください。むなしく命を捨てず、この次にはみんなの幸いのために私の体をお使いください」と。サソリはその後、赤く美しい火になり燃え夜の闇を照らしている、という話を女の子がしてくれる。
やがて、乗客たちも降りていく。外に見えていた十字架も小さくなった。天の川のひとところに「そらのあな」が見える。ジョバンニは「もうやみも怖くない。本当の幸いをさがしに行く。一緒に行こう」とカムパネルラに言う。「ああ、きっと行くよ。あすこが天上なんだ。あすこにいるのは、おっかさんだよ」と野原を指さすカムパネルラ。ジョバンニはカムパネルラがいないことに気付き、咽喉いっぱいに泣いた。そこへ、やさしい声が聞こえて……
目が覚めたジョバンニは胸がほてり、涙を流していた。
そして、カムパネルラの身に起きたことを聞いて、河原へと走る。

♪星めぐりの歌
あかいめだまのさそり ひろげた鷲のつばさ 
あをいめだまの小いぬ ひかりのへびのとぐろ~


銀河鉄道の夜
宮澤賢治(作) 小林敏也(画) 好学社
 110ページ


銀河鉄道の夜
宮澤賢治(作) 司修(絵) 偕成社
 182ページ


銀河鉄道の夜
宮沢賢治(作) 金井一郎(絵) 三起商行(ミキハウス) 112ページ


銀河鉄道の夜
宮沢賢治(作) 藤城清治(影絵・文) 講談社 44ページ


かわいい ガイドブック

かわいいイラストと情報満載のガイドブック。刊行年は前のものになりますが、楽しめるし、お役にも立つと思います。


えほんとさんぽ さがしに行こう! 絵本・雑貨・カフェ
杉浦さやか(作・絵) 白泉社 (2006年)


おすすめの絵本カフェ、ギャラリー、国内外の絵本の紹介。


おさんぽ美術館 ぶらりとめぐる アート・雑貨・カフェ
杉浦さやか(著) 白泉社 (2013年)


おさんぽ気分で美術館まで行ってみましょう。その途中で出会うモノたちもイイモノがいっぱいです。雑貨屋さんや本屋さんやカフェに立ち寄り、イイ時を過ごしましょう。イラスト、写真で詳しく紹介。


世界をたべよう! 旅ごはん
杉浦さやか(著) 祥伝社 (2016年)

作者が世界24か国と国内の21軒で食したごちそう。おいしいもの、変わったものなど、その土地の “食” について、イラストでご紹介。旅で出会った幸せを感じる “ごはん” 。


おやこデート こどもと楽しむおでかけガイド
杉浦さやか(著者) 白泉社 (2017年)


小さなお子さんとともにおでかけする時、お母さんはいろいろな気遣いが必要になります。著者が実体験をもとにして得た “知恵と技” をまじえて、楽しめる親子デートをするための必携書です。


旅の終わりに

松尾芭蕉(寛永21年(正保元年、1644年)生まれ)の「奥の細道」の旅は、元禄2年(1689年)3月27日に、弟子の曾良を伴い始まった。
8月下旬に岐阜県大垣市に到着。約5カ月600里(約2,400㎞)の旅を終えました。
大垣で「蛤の ふたみにわかれて 行秋ぞ」と詠みました。

松尾芭蕉は元禄7年10月12日(1694年11月28日)死去。遺言により、義仲寺ぎちゅうじ(滋賀県)の木曾義仲の墓の隣に葬られました。
  ※木曾義仲=源義仲。源義賢の次男。源頼朝、義経兄弟の従兄弟にあたる。

松尾芭蕉は、元禄7年9月頃から体調を崩し、門人たちの看病を受けていた。その10月8日に “病中吟” として詠んだのが、以下の句で「辞世の句」とされている。
旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る


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