🎋 七夕

七夕

たなばたは、旧暦の7月7日の夜に行われる行事です。
(月遅れの8月7日に行う地域もあります)
五節句の一つです。

五節句―人日じんじつ(1月7日)、上巳じょうし(3月3日)、端午たんご(5月5日)、七夕たなばた(7月7日)
    重陽ちょうよう(9月9日) 

七夕のはじまり

奈良時代に、中国での「七夕」行事が伝わり、日本の「棚機津女たなばたつめ」伝説と一緒になって出来たのが、日本の「たなばた」とされているのが、ひとつの解釈です。

中国に「乞巧奠きっこうでん」という、7月7日の夜に織女に対し手芸上達を願う祭があり、竹竿に糸をかけて、裁縫や習字の上達を星に祈った。
それが日本に伝わり、宮中や貴族間で行われるようになった。
「平家物語」には、貴族は願い事を「梶の葉」に書いたとあり、二星会合(二人が会うこと)、詩歌、裁縫など技芸上達を願った。
江戸時代には、手習い事の願掛けとして一般庶民にも広がった。

また、七夕は、畑作の収穫祭という意味も持ちます。麦や夏野菜の成熟を祝い、神と恵みに感謝する行事の一面もあります。

ベガとアルタイル

七夕の主役の二人。

ベガ
こと座の一等星。織姫星、織女星。
織姫は、天帝の娘であり、機織り上手な働き者。

アルタイル
わし座のα星。夏彦星、彦星、牽牛星。
彦星は、働き者の牛飼い。


夏の大三角
こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブとで形成される。

中国の史料

•「文選もんぜん」(詩文集)、「西京雑記せいけいざっき」、「荊楚歳時記けいそさいじき
六朝りくちょう・梁代(502~557年)の殷芸の小説
 この小説中に、現在の七夕の由来話と似ている箇所があり、最古期を考証でき
 る史料の一つとなっている。それは、逸文とされ、現在には伝わらない文章と
 されている。

  『天の河の東に織女有り……河西の牽牛郎に嫁すことを許す。……一年一度
   会うことを許す』

  殷芸(いんうん)―471年~557年。南朝斉から梁にかけての官僚。

説話と物語

説話

織姫と彦星が惹かれ合い、天帝が結婚を認めた。二人は結婚生活が楽しくて、働くことをしなくなった。怒った天帝が天の川を隔てて、二人を離れさせてしまったものの、年に一度だけ7月7日に会うことを許した。天の川にカササギがやって来て連なり橋となり、二人は会うことができた。しかし、雨が降ったときは会うことができなかった。

七夕の別名―星あい、星合、星合い=星(ベガとアルタイル)の逢引きなので。
催 涙 雨―会えなかった二人が流す涙として、この日に降る雨のことをいう。

•たなばたのお話のなかには、織女の母親が登場するものもある。
その一つに、京劇で演じられる「天河配」がある。

   牛飼いの牛郎(牽牛)が、水浴びをしていた天女の一人の織女の衣を盗み、
   夫婦になる。やがて、織女は天界に戻る。織女の母・西王母により二人は
   天の川の東西に引き裂かれる。

物語

天の川のそばに天の神様が住んでいた。一人娘の織姫は、神様の着物を織る仕事をしていた。織姫は、天の牛を飼う彦星と結婚した。二人は仲が良すぎてそれぞれの仕事をしなくなった。神様は怒り「天の川の東と西に別れて暮らすがよい」と二人を引き離した。神様は、あまりに悲しむ織姫に「一年に一度だけ、七月七日の夜だけ会ってもよい」と許可を出した。それから二人は、その日を楽しみに仕事に励み、7月7日の夜に天の川を渡って彦星に会いに行くのでした。

たなばたの楽しみ方

7月6日夜から7月7日早朝に行われる。
午前1時ごろが、天頂付近に主要な星が上がり、「天の川」「牽牛星」「織女星」の三つが最も見頃になる。

飾りつけ

●短冊―五色(緑・紅・黄・白・黒)の短冊に願い事を書く。
    五色は、五行説に当てはめたもの。

※五行説=中国古代の学説。自然界は「木・火・土・金・水」の五つの元素の
     一定の循環法則に従い変化するという説。
    
●7枚の梶の葉―歌を書く。
 「サトイモの葉の露で墨をすると習字が上達する」とされている。

藤原俊成の歌に…
「たなばたのとれたるふねの梶の葉にいくあきかきつ露のたまづさ」とある。

●紙衣、巾着、網、屑籠、吹き流し、折り鶴、星飾り、菱飾り、紙でんぐり…

作られた笹を7月6日に軒下に飾り、7日未明に海、川に流します。
昨今は、環境への配慮から「流す」ことは実施されないことが多いのでは…

おまけ 7月7日は「そうめんの日」

7月7日は「そうめんの日」でもあります。

七夕にそうめんを食べる地域もあります。

後醍醐天皇(日本の第96代天皇、南朝初代天皇)の時代、宮中の七夕の儀式で素麺の原型とされる「索餅さくべい」を供えたという記述がある。

索餅とは、中国の古文献には表出してくるが、詳しいことはわかっていない。
―「(中国の故事)古代中国、高辛氏の子供が7月7日に亡くなった。その子は霊鬼神となり、熱病を流行らせた。その祟りを鎮めるために、好物だった「索餅」を供えた」とされる。「索餅」は「素麺」へと変化し、7月7日の七夕に食べるようになった。

「餅」とされた食べものが、後に「麺」と書かれるようになったことから、麺類だろうと推測はされるようです。日本では最古の漢和辞書で、索餅に「牟義縄むぎなわ」という和名を示す文字があるそうです。
「むぎ」は「麦」の他に「小麦で作った麺」という意味もあるそうです。
索餅は「菓子」とする研究者もいるが、現在の「素麺」だとする説が多く支持されているようです。

索餅は、五色の糸を模した菓子として、現在では食されているようです。


七夕の絵本

たなばたにまつわる絵本を紹介します。

七夕の由来がわかる絵本

たなばた
君島久子(再話) 初山滋(絵) 福音館書店

牛飼いの彦星と織姫には、子どもも二人生まれ幸せに暮らしていたが、天の神様の怒りにふれた織姫は、天へと戻されてしまう。彦星は、牛の助けを得て、子どもたちと天へと向かう。彦星は、織姫に会うために、天の川の大水をひしゃくでくみ上げ続ける。彦星のその姿にうたれた神様は、一年に一度だけ会うことを許すのです。中国の説話からのお話が繊細な絵と清らかに溶け合う絵本です。


たなばたむかし
大川悦生(作) 石倉欣二(絵) ポプラ社


水浴び中の織姫の着物を隠すことからはじまる、中国の説話からのたなばたのおはなしです。


たなばた
岩崎京子(作) 鈴木まもる(絵) フレーベル館


牛飼いが見つけた美しい着物は、水浴び中の天女・織姫のものでした。牛飼いはその着物を隠します。着物が無くては天へと帰れない織姫は、牛飼いと暮らしはじめ、子どもを授かります。ある日、着物を見つけた織姫は、子どもを連れて天へと上ります。


たなばたにょうぼう
常光徹(文) 野村たかあき(絵) 童心社

キツネに言われて羽衣を見つけた炭焼きの若者。羽衣を失くした娘(たなばた)は若者のところに宿を借りにくる。やがて、二人は結婚し、男の子が生まれる。その子が3歳になったとき、羽衣が見つかる。羽衣を見つめるたなばたは、さびし気である。たなばたは羽衣に身につけ、子どもを抱いて天へと行く。隠していた羽衣がないことに気づいた若者は、キツネの助言で大きな羽をつくり、天へと飛んで行く。天に降り立った若者には、たなばたの母神が下す無理難題が待っていた。(天の川は、瓜からでた大水でできていた!)


たなばたものがたり
舟崎克彦(作) 二俣英五郎(絵) 教育画劇

天帝は織姫の結婚相手に牛飼いを選びます。二人は結婚生活が楽しすぎて、仕事をしなくなります。怒った天帝は、二人を引き離します。織姫は泣きくらし、牛飼いも家にこもりきりになります。天帝はおれて「年に一度だけ会わせてやる」と妥協案を提示。その日がきて、二人は川に駆け寄りますが、川は広くどうやって渡ればいいのかと思案します。すると、カササギが集まりだし、その翼を掛け合わせて川に橋を作り始めたのです。


たなばたさま
いもとようこ(作) 金の星社


結ばれた織姫と彦星。幸せな二人は、仕事をしなくなりました。天の神様は、そんな二人に腹をたて、二人を天の川の両端に引き離しました。「一年に一度だけ会うことを許された」二人。それが、7月7日の夜なのです。


地上での楽しみ方

たなばたさま きららきらら
長野ヒデ子(作・絵) 世界文化社


今日は、7月7日のたなばたさま。おじいちゃんは大きな笹を取って来てくれました。おばあちゃんは、たなばたさまの飾りをいろいろ教えてくれます。みんなで飾りを作り、笹に飾り付けます。流しそうめんやスイカのごちそう。夜空に広がる天の川を眺めながら……みんなで七夕の夜を楽しみます。


たなばたまつり
松成真理子(作・絵) 講談社


たなばたの願い事。短冊に願い事を書きます。願い事はすぐには、かないません。願い事が星に届くと、星がキラリと光るそうです。笹の葉に吊るされた短冊は、秘密の言葉を話しているそうです。夜、短冊に書かれた願いの言葉は天空へと舞い上がって行くそうです。


たなばたプールびらき
中川ひろたか(文) 村上康成(絵) 童心社

織姫と彦星が天の川で、スターウォッチング。笹の葉の短冊に書かれた子どもたちの願いを見ています。「天の川で泳ぐこと」という願い。織姫と彦星は子どもたちを招待することにします。天から降ってきた流れ星のしっぽにつかまって、子どもたちは天の川へ。もちろん、園長先生も一緒です。園長先生は「園のプールびらき」宣言を天の川でしてしまいます。泳ぐ前の準備体操「おててぶらぶら……おしりくねくね」をみんなでしたら、さあ、飛び込んじゃおう! 織姫と彦星も天の川に入って泳ぎますが、さて…二人がはじめたこととは、何でしょう?


天空の星たち

古の人たちが、夜空の星を見上げて想像した世界。ギリシャ神話と星座の関係。太陽系の惑星。星のいろいろ……写真やイラストなどで興味深く掘り下げた星たちのことが満載されている本のほんの一部をご紹介します。


12星座とギリシャ神話の絵本
沼津茂美(著) 脇屋奈々代(著) 中島梨絵(絵) あすなろ書房


星座入門絵本。古来、星座と結びついたギリシャ神話。その星の物語をわかりやすく教えてくれます。

 


12の星のものがたり
ツペラツペラ(tupera tupera)(作・絵) ヴィレッジブックス


12の星座。それぞれにまつわるギリシャ神話。絵が見開きページに広がり見ごたえがあります。


星と星座のふしぎえほん
大藪健一(文) 常永美弥(絵) PHP研究所


ギリシャ神話と結びつき、88の星座が生まれた。星座とその伝説、惑星、彗星、天の川など夜空への知識が深まり過ぎる内容満載の絵本です。


はじめてのうちゅうえほん
てづかあけみ(絵) 的川泰宣(監修) パイインターナショナル


地上から空を見上げる。ずーっと、ずーっと、その先に広がる宇宙。地球、銀河系…子どもたちが宇宙に対してもつ “謎” について、かわいいイラストでわかりやすく教えてくれます。
「はじめてのシリーズ」3作目。


四季の星座図鑑
藤井旭(監修) ポプラ社


四季の星座。88の星座の見つけ方の参考になる優秀な図鑑です。


星・星座 増補改訂版
藤井旭(監修) 学研


星座物語について、写真や絵画や天体などで解説紹介。太陽系の惑星、彗星、流星の観察方法、天体望遠鏡の使用方法などの参考にもなります。


藤井旭の星が光る星座早見図鑑
藤井旭(監修) 偕成社

暗いところでも、星が光って見えるインクが使用されています。机上でプラネタリウムが楽しめる図鑑です。


宇宙 そのひろがりをしろう
加古里子(作・絵) 福音館書店

宇宙の大きさは? 宇宙の広がりを根底に、星の一生から宇宙有限論までをやさしく説明してくれます。望遠鏡やロケットについてもわかりやすく。


なつのほし
かこさとし(作) 偕成社

夏の星座と星について、七夕などのお話と関連付けて教えてくれます。四季により空の星座がなぜ変化するのか、銀河系のしくみはどうなっているのかについても、わかりやすく教えてくれます。


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