旧暦の六月は、水無月。
「水が無い月」と書きますが、この「無」は「の」に当たる連体助詞「な」で「水の月」と言うことになります。田に水を引く月であることから「水無月」となったと言われています。
新暦の六月は、梅雨の季節と重なります。
そこで、雨にちなんだ絵本を紹介します。
まほうのかさ
小沢正(作) はたこうしろう(絵) 教育画劇
1年生のいちろうくん。体育が嫌いです。
夢で出会った女の子は、魔女の女の子。「してもらいたいことはない?」といちろうくんにききます。雨が降ったらいいのになあ…と考えるいちろうくん。朝になって目が覚めて玄関に行くと、夢に出てきた赤い傘がそこにあるではありませんか!
魔法の傘は、開くと雨が降り、閉じると止むというものです。いちろうくんは、その魔法の傘を使ってみます。それから、いろいろ……
はたさんの描く女の子がとってもかわいいです。
まほうのかさ (こどものとも516号)
R.ファイルマン(原作) E.コルウェル(再話)
松岡享子 浅木尚美(訳) ジョン・シェリー(絵) 福音館書店
魔法使いが市場の屋台に魔法の傘を置き忘れてしまいます。次の日、お百姓さんがその傘を家に持ち帰り、おかみさんへやります。ある雨の日、おかみさんはその傘を持って市場へ行きます。卵を買おうとして数を数えると、なんと、次の瞬間には自分の家に戻ってしまったのです。この傘は、魔法の傘でしたね。傘を持って数を数えると、不思議なことが起きるのです。「1,2,3」と数えると家に戻ってしまう。「1,2,3,4,5」では…「1,2,3,4,5,6,7」では…さて何が起きるでしょうか、お楽しみに。
あかいかさ[新版]
ロバート・ブライト(作) しみずまさこ(訳) ほるぷ出版
女の子が外を歩いています。いいお天気です。傘を持ってくるんじゃなかったと後悔しています。すると、雲がもくもくわき出して、雨が降ってきました。
傘をさして歩いていると、子犬が1匹やって来て「傘に入れて」と言います。次に、子猫が2匹やって来て…次にはニワトリが3羽…ウサギ、ヒツジ、ヤギ、そして大きなクマまでもやって来ては、お願いをします。
小さな絵本のなかに描かれている傘の赤い色が印象的です。長い間、愛され読まれ続けてきた絵本です。
おんなのことあめ
ミレナ・ルケショバー(文) ヤン・クドゥラーチェク(絵) 竹田裕子(訳) ほるぷ出版
誰かに会いたいなと思いながら歩いていた女の子。「ポツン」と手のひらに雨粒。女の子と雨との出会いです。家まで一緒に「いらっしゃい」と女の子は雨に言います。でも、家に着いたら女の子はドアを閉めてしまい、雨は中に入れません。雨は悲しくなってシクシク泣きだしてしまいます。それから、家のまわりを走りながら窓や屋根を「おじょうちゃん、おじょうちゃん」と叩きます。家から出てきた男の人にも「おじょうちゃん」と声をかけて嫌がられる始末です。雨は、傘をさしている人たちの中に女の子をさがします。
さびしそうに降る雨。ちょうちょやニワトリ、猫も犬も雨は嫌い。
長靴をはいた女の子が「この指とまれ!」と雨にいい、走って行きます。
楽しそうに降る雨。ガチョウやアヒル、スズメは雨が好き。
カエルが、女の子の目は「小さな湖」みたいだと言いだすと、まわりのものに色がつき始めます。虹の色の雨が降っているようです。
しあわせそうに降る雨。女の子は雨が大好き。
そんな女の子が家に帰る途中で見つけたものは、何かな?
チェコの絵本です。
どしゃぶり
はたこうしろう(絵) おーなり由子(文) 講談社
夏。男の子。地面が熱い。真っ黒の雲がこっちに来る。雨! 男の子のさす傘に雨粒があたってくる。雨の音がだんだんふえてくる。雨がうたっている。男の子は傘をなげ出してはだしで走る。水しぶきをあげながら、走る。雨粒は全部、男の子のもの。いっしょに遊ぶ男の子と雨粒。びしょ濡れになって思い切り楽しむ男の子がいる。そのあとは「ばいばい、雨さん」。雨がはれて…
あめのひのくまちゃん
高橋和枝(作) アリス館
午後おそく、雨が降ってきました。くまちゃんはいつもの遊び場のようすが心配になりました。そこで、雨のなかをでかけて行きます。雨のなかにある、いつもの遊び場は、いつもとちょっと違っていました。カエルやミミズが集まっています。池の水面には、雨のわっかが生まれては消えるをくりかえしている。においもいつもと違うみたい。林のなかで洗濯物を干していたリスたちは、あわてて洗濯物を取り込みます。リスもいつもと違う雨のにおいに気づいたのです。雨が降ると、なんか不思議な感じになるんだな…家に帰ったくまちゃんは……
雨ニモマケズ
宮澤賢治(作) 小林敏也(画) 好学社
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシズカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ䕃ノ 小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイイトイヒ
北ニケンクァヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ
サウイフモノニ ワタシハナリタイ
南無無辺行菩薩 南無上行菩薩 南無多宝如来 南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏 南無浄行菩薩 南無安立行菩薩
一節ごとに小林敏也さんの版画が展開されていきます。
宮澤賢治の詩の世界が見事に広がっていきます。
「画本 宮澤賢治」シリーズ
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