📖サン・ジョルディの日

ハート本黄色 サン・ジョルディの日

4月23日はサン・ジョルディの日

この日は、スペイン・カタルーニャ地方におけるキリスト教の聖人・聖ゲオルギオス(サン・ジョルディ)が殉教した命日で、聖名祝日(ゲオルギオスの日)。

サン・ジョルディ
聖ゲオルギオスのカタルーニャ語読み。

聖名祝日
キリスト教における聖人の記憶日。”NAME DAY”。 聖人崇敬をするキリスト教の教派では、各々の聖人を守護聖人とする祝日が割り当てられている。殉教者は命日を祝日とすることが多い。中にはその日の由来が不明な守護聖人もある。

カタルーニャ州
スペインの自治州。州都はバルセロナ。

聖ゲオルギオス
ドラゴン退治の伝承があるキリスト教の聖人。カタルーニャ地方の守護聖人。退治したドラゴンの血が赤いバラになったという伝承があり、そのため中世以来、聖ゲオルギオスが赤いバラと関連づけられてきた。このため、カタルーニャの伝統的な風習として、男女が贈り合うのが赤いバラ。
サン・ジョルディの日は、「バラの日」(El dia de la Rosa)とも呼ばれている。

•「本の日
サン・ジョルディの日は「本の日」(El dia del Llibre)でもある。本を贈る風習は、20世紀初頭からのもの。
セルバンテス(「ドン・キホーテ」の著者)の命日(1616年)が4月23日。
シェイクスピアの誕生日?(1564年?)と命日(1616年)が4月23日。
ふたりの文豪と縁のある日ということに、「サン・ジョルディの日」には贈り物をするということを便乗させて、”この日に「本を贈ろう」”と1923年にカタルーニャ地方の本屋が始めた。プレゼント用に本を買った人には、赤いバラを添えた。
親しい人へ本を贈る記念日。

日本では
1986年、4月23日を「サン・ジョルディの日」と定めた。
また、この日は「子ども読書の日」でもある。

このほかにも
4月23日は「世界図書・著作権デー」(世界本の日)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が、スペインの提案に基づき制定した。

ドラキュラ
「ドラキュラ」(1897年、英の作家ブラム・ストーカーの著作)の主人公がトランシルバニアのドラキュラの居城を訪れるのは、東欧における”聖ゲオルギオスの日”の前日の5月4日。主人公が宿泊した宿の主人が、警告する…
…のだが、それはー
聖ゲオルギオスは邪悪なものを退治する聖人。その能力を発揮する日の前日というのが、逆に邪悪なものの力がパワーアップすると考えられていた。「ドラキュラ」中の”5月4日”というのは、この本の出版当時のユリウス暦4月23日をグレゴリオ暦に換算したとき5月5日になる。だから5月4日は、邪悪なものが強大になる日となる。

ドラゴンの絵本

聖ゲオルギオスのドラゴン退治にちなんで、竜・龍の絵本をおすすめ。

たつのこたろう
松谷みよ子(作) 朝倉摂(絵) 講談社

龍にされてしまった母を探す旅に出る太郎。
行く先々で出会うもの、人、場所で、いろいろなことを考え、成長していきます。
「まんが日本昔ばなし」(TV)での、オープニングのかわいい太郎を思い出します。

りゅうのめのなみだ
浜田広助(作) いわさきちひろ(絵) 偕成社

みんなに恐れられ、嫌われている龍。
男の子は、龍が嫌われていることがかわいそうだと言います。
誕生日パーティーに招待するために、龍の住む山へひとりで行く男の子。
龍は男の子と話し、はじめて優しくしてもらい、涙を流すのです。
無垢なこどものやさしさよ、永遠なれ。

ちび竜
工藤直子(作) あべ弘士(絵) 童心社

小さな雨粒から生まれた小さな竜。水たまりのボウフラは小さな竜に「みんな待っていた」と言う。そして、小さな竜はやがて「大きな竜になる」とも。
小さな竜は、たんぽぽの綿毛で飛び立ちます。たくさんの生き物や雲、山などの自然とも出会い、学んでいきます。そして、竜としての力も得ていきます。
だんだんと大きく、でも、ただ大きいだけではない竜へとなっていきます。

ほしになったりゅうのきば
君島久子(再話) 赤羽末吉(画) 蕭甘牛(採話) 福音館書店

大きな石が落ちてきた。その石から男の子が生まれた。子どもが欲しかったおじいさんとおばあさんは、サンと名付けた。天空では、龍の兄妹が桃の取り合いでケンカをしている。そのケンカでなんと天が裂けた。その裂けた天の下がサンの住んでいる所。裂けた天は大雨や日照り、寒さで、人々を苦しめた。サンは、天の裂けめの繕い方を老人にきき、龍の牙と角をとり、クマ王の末娘と天へと向かうのです。
中国民話の壮大なお話。

ドラキュラ

ドラゴン。ドラキュラ。”ドラ”・”ドラ”つながりで、ドラキュラの絵本をおすすめ。

ドラキュラ
ブラム・ストーカー(原作) リュック・ルフォール(再話) ブリュチ(絵) 
宮下志朗・舟橋加奈子(共訳) ポプラ社

イギリスの法律事務所の見習いジョナサン・ホーキンズ。嵐の夜に訪ねたのは、ドラキュラ城。伯爵は薄気味悪いが、もてなしは最高。しかし、薬を飲まされて眠らされてしまい、目が覚めた時には囚われていた。そして、首には傷跡があり、血がしたたり落ちているのだった。
小説の「ドラキュラ」と同じ内容ではない作品です。
少し”怖い”かも…しれません。ページを開く時には、ご用心を…

薔薇 ばら バラ

薔薇が咲いた、ばらも咲いた、バラがいっぱい。バラの絵本をどうぞ。

バラがさいた
市川里美(作・絵) 偕成社

風邪をひいて寝込んでいたノラ。窓の外には、バラの花が満開に咲いていました。通りがかりの人たちが、きれいに咲いたバラの花を一本一本持っていってしまいます。ノラはバラの花を見張ることにしました。でも、バラの花は最後のひとつになってしまいました。そのバラの花を、牛が食べてしまうのです。

ほたると ばらの花
関英雄(作) いもとようこ(絵) ひかりのくに

かごの中のほたるが死んだと思い捨てる男の子。そのほたるは、白ばらのなみだのしずくのおかげで息を吹き返します。ほたるは白ばらのいい香りの中で死んでいこうとします。白ばらは、「この上に広がる空へと飛んで行くのよ。あなたならできる」と励まします。ほたるは飛び立ちます。そして、成り行きを見ていた赤ばらが放つ言葉は…

しらゆき べにばら
グリム童話(作) バーバラ・クーニー(絵) 鈴木晶(訳) ほるぷ出版

母と二人の娘。咲いている白ばらと赤ばらに似ているのでそれぞれに「しらゆき」と「べにばら」と名付けます。寒い夜、くまが暖まりたいと訪ねてきます。仲良くなった娘たちとくま。春になると、くまは「悪い小人から宝物を守らなくてはいけない」と森へ帰ります。しらゆきはその時、扉の掛け金にひっかかったくまの毛が金色に光ったように見えました。娘たちが森へ薪を取りに行くと、小人が長いひげを倒れた木に挟まれているのを見つけます。しらゆきがひげをハサミで切ってあげます。小人は悪態をつくと金の詰まった袋を担いで行ってしまいます。ある夜、袋から宝石を出している小人に二人は出会います。小人は二人に怒り出しますが、そこに黒いくまが突然現れて小人を突き飛ばします。逃げた二人にくまは声をかけます。その声に聞き覚えのある二人がクマの元へと近づいてくると、くまは金の服を着た男の人になりました。くまだった男の人は、宝物を盗んだ悪い小人に魔法をかけられた王子だったのです。しらゆきと王子、べにばらと王子の兄弟が結婚、小人が隠した宝物を分けて、母と一緒に暮らします。母は、窓の外に家にあった白ばらと赤ばらの木を移し、毎年きれいに咲くのを楽しみました。

わたしの庭のバラの花
アーノルド・ローベル(作) アニタ・ローベル(絵) 松井るり子(訳) 
らんか社

わたしのにわのばらのはな。……ばらのはなでねむるはち。……….ねむるはちにひかげを…と文章が加えられていく、積み重ね歌。
そして、ページをめくる毎に花の数が増えていきます。
最後には素敵な景色が待っています。

愛おしい本

木は森に、本は本屋にある。本の絵本をどうぞ。

森の本やさん
肥田美代子(文) 小泉るみ子(絵) 文研出版

森にある本屋の主人、くまじいさん。やって来るお客さんに、それぞれにぴったりのお望みの本を探してあげます。しかし、その本屋が嵐で崩れてしまいます。がっくり気落ちするくまじいさん。森のみんなは、くまじいさんのために頑張ります。森のみんなにとっても大事な本屋さんなのだから。

ルリユールおじさん
いせひでこ(作) 講談社

パリに住む女の子、ソフィー。大事にしている植物図鑑がバラバラになってしまった。本を生き返らせてくれる”ルリユール”という職人がいることを知り訪ねます。工房はいろいろな紙であふれています。ルリユールおじさんは、図鑑を丁寧に修繕してくれます。おじさんのお父さんも、ルリユールだった。パリの街の風景、そこに暮らす人々、流れてきた長い時間。この仕事を愛しているおじさん、図鑑とそのページにある樹木を愛しているソフィー。ソフィーの思いをひとつ残らず詰め込んで、ソフィーの新しい図鑑を作り上げてくれたおじさん。その出来上がった図鑑を胸に抱いたソフィーの喜びが伝わってきます。

こんな花も咲いています

咲いた咲いた、チューリップ。咲いた咲いた、ルピナスの花。花の絵本をどうぞ。

チューリップ
荒井真紀(作) 小学館

チューリップは、球根が土の中で成長して、芽を出し、茎を伸ばし、花が咲く。
まずは、秋に土の中に球根を埋めます。土の中の様子。球根の根の変化。冬になると、どう変化していくのか、地上はどんな風か。丁寧できれいな絵で教えてくれます。荒井真紀さんがじっくり観察して描いてくれた科学絵本です。楽しく学べますね。

ルピナスさん
バーバラ・クーニー(作) 掛川恭子(訳) ほるぷ出版

ルピナスさんは、私の大おばさん。そんな女の子が語ります。

ルピナスさんは、子どもの頃はアリスという名前でした。大好きなおじいさんに約束します。「大きくなったら遠い国々に行き、おばあさんになったら海のそばの町に住む」と。おじいさんは「もうひとつ」と。何かときくと「世の中を美しくするために何かしてほしい」と答えたおじいさん。「いいわ」と約束したアリス。
大人になるとミス・ランフィアスと呼ばれ、海から離れた町の図書館で働きだしました。よく行く公園の温室のジャスミンの香りから南の島をイメージし、南の島へ行くことに。雪の解けない高い山、ジャングル、砂漠と巡り、そこには忘れられない人々との出会いがありました。ある時、ラクダから落ちて背中を痛めてしまい、これを機に「もう十分に遠い国は見たのだから」と、海辺に家を見つけることにしました。
海のそばの家。おひさまをたっぷり眺めて暮らし、花の種を蒔きました。次の春、背中がまた痛みだしベッドですごすことに。外では昨夏に蒔いた種からたくさんの花が咲いています。「ルピナス!」大好きな花。おじいさんとの3番目の約束をどうしようかと海を眺めながら考えました。この夏は外に出られず、種を蒔けませんでした。また、春です。具合もいいので遠くまで散歩をすることに。すると、なんということでしょう!たくさんすぎるルピナスがあちこち、そこら中に咲いているのです。風や鳥が種を運んでくれたのです。それから、変人扱いされながらも、ポケットに入れたたくさんの種を村中に蒔いて歩きました。次の春、村はルピナスだらけになりました。青、紫、桃色と美しいルピナスに埋もれた村。おじいさんとの3番目の約束「世の中を美しく」が果たせたのでした。

大おばさんは”ルピナスさん”と呼ばれるようになりました。ルピナスさんは私の友達に遠い国のお話をしてくれます。そして私は、ルピナスさんに約束するのです。

タイトルとURLをコピーしました